理学療法(Physical Therapy)は約100年前に英国、ドイツなどで発展した物理療法と体操療法が、米国で理学療法として体系化されたのが始まりだとされています。特に米国では戦争による傷病者の治療に理学療法が貢献し発展してきたと言えます。
私達の日本に導入されたのは昭和40年頃のようですが、当時モータリゼーションの普及などによる交通事故が増加し、骨折、脊椎損傷などが多発したため、理学療法がその治療に貢献し今日まで発展してきたのです。現在の日本では急速に高齢化社会が急速に進み、高齢者では病気が治癒しえも運動障害が残ったり、体力低下をすることにより、寝たきりになる人が増加し、社会問題となっているようです。
理学療法にはこのような寝たきりになる高齢者をなくして、人間として尊厳のある自立した社会生活が送れるように支援する役割を果たします。また、近年には喫煙者に増加している慢性閉塞性肺疾患、糖尿病などの生活習慣病に対する理学療法の役割も期待されているようです。
多様な疾患を背景として生じた運動機能障害に対して理学療法(Physical Therapy)技術を駆使して改善を図る治療技術者の事を理学療法士(Physical Therapist)といいます。私達の日本では、40年間に主として米国から導入され現在に至っています。
現在では約5万人が病院、介護保険施設などで活躍しているようですが、今後の高齢者人口の増加、生活習慣病の増加などを考えると、理学療法士の数は十分満たされているとは言えないようです。治療の対象となる運動機能障害は骨・関節障害・スポーツ障害・神経・筋障害・呼吸器障害・内部障害などの多岐にわたります。
理学療法は医師、看護士と同様に直接、障害を持った患者と治療をとおして接するため、患者からは信頼されるに足る人間性が要求されるようです。
理学療法士とは、「理学療法士及び作業療法士」という法令で定められる国家資格の名称です。この法律では、理学療法を下記のように定義しています。
【理学療法士及び作業療法士法】
第2条、この法律で「理学療法」とは、体に障害のある物に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操そのたの運動を行わせ、及び電気刺激・マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることを言います。
第二条 3この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行うことを業とする者を言います。
理学療法士は、厚生大臣の認可を受けて、主に病院やリハビリテーション施設、介護保健施設、介護老人福祉施設などで、病気や事故などで障害を負った人に対して、基本的な動作能力を最大限に回復するように、はっきするなどの、医学的リハビリテーションをする専門職のお仕事です。
今後、求められる理学療法士とは・・・・。
理学療法士になろうとする人の中には「スポーツリハをやりたい」と言う人が多いようです。もちろんそれも重要な分野で、希望することも良いことでしょう。でも、残念ながらその分野はリハビリ全体の中ではとても狭い領域のようです。
希望通りそのような職場に勤務できる人は少ないようです。また、勤務をしても当然スポーツ分野だけではなく様々な患者に対応できなければいけません。今後、更に高齢化社会が進むことを考えると高齢者や在宅生活をされている人達に、積極的に関わりたいと考える理学療法士が望まれているようです。
また、どのような分野であっても「向上心を持って前向きに取り組む、情熱を持った理学療法士」が良いでしょう。
2017/7/12 更新